31 posts categorized "05. Leadership"

03/04/2010

アシスタントのワークショップで質問会議

一年前から小規模に試行していたんですが、先週金曜日、ついに質問会議を大学の授業の学生アシスタントと有志教員のワークショップに導入することができました。
 どうして質問力をあげる必要があるかというと、リーダーシップ開発の授業では、グループで問題解決・企画提案プロジェクトを行うことが多く、そのプロジェクト期間中は教員もアシスタントも受講生たちに知識をインプットするというよりはプロセスを見守る役割になります。授業中にも机をグループごろに島状に並べ替えて、各グループがディスカッションを行う時間がありますが、島の間を巡回しているときに受講生から「どうしたらいいんでしょうか?」と相談されることはしばしば起きます。そのときに「こうしたらいいのでは」とついインプットしたくなる。どこまでインプットするか迷う。あるいはインプットしてしまってから後悔する。こんなときに受講生からの質問に直接答えないで、逆に質問で返すという技があります。
 もちろんどんな質問でもよいわけではないので、的確な(聞き手に学習を引き起こすような)質問を良いタイミングで行うために練習と経験が要るわけです。
 当日はアシスタント学生(学内規定ではstudent assistantという妙な名称です)3名と教員1名、それにプロのALコーチ(アクションラーニングコーチ)が1グループになり、そのグループが7つ、同時並行で質問会議を進めました。日本アクションラーニング協会の講座では最初からALコーチの養成を意図しているためか、交替でALコーチ役になる仕組みになっており、その準備のためにALコーチ業務の説明にかなりの時間をとられます。さらに、ALコーチになることをめざしているのか、メンバーとして質問力をあげることをめざしているのかが初心者には分かりづらくなっていると常々思っていたので、今回はALコーチ役はプロの方々に完全にお任せして、メンバーは質問役に徹してもらいました。これにともなって、質問会議の前に全体で行うオリエンテーションも、「問題解決のために良い質問・悪い質問」「どういうときに質問をしづらくなるか」など、質問の効能や良い質問が出るための条件などのディスカッションに絞り込みました。
 もともとBLPは、アクションラーニングの考え方で構成されている(逆に言うと質問会議はアクションラーニングの一形態にすぎない)ので、当日参加した学生たちもBLPは1年間以上受けているので、振り返りの習慣はついており、質問会議の「学習促進」も違和感なく実行できたようです。この点についてALコーチの方々からお褒めをいただけたのも嬉しく思えました。
 受講生にも大変好評でした。朝から夕方までみっちりワークショップを行った後、受講生たちはバスでさらに伊豆へ合宿に出かけて、ウェルカムキャンプと新学期の準備のためにまた密度高く過ごしました。

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04/19/2009

ウェルカムキャンプ

立教大経営学部では学部開設以来、毎年新入生全員を連れてウェルカムキャンプを開催してきました。開設が2006年4月ですので、今回で四回目です。趣旨・会場・参加者層は前回までとほぼ同様なのですが、今回は現地での行事のマネジメントを学生諸君が全てやってくれました。  他の大学でも新入生歓迎のために一泊二日かそれ以上で旅行に出かけ、その運営一切を学生に任せているところがあるようです。しかしその場合コンテンツは「楽勝科目の選び方」とか「サークルの活動紹介」とか、授業とは関係ないというか、授業の趣旨とはまったく逆のものになっていることも多いようで、それは趣旨もコンテンツも運営も学生団体に丸投げしているからではないかと思われます。
 経営学部の場合は、ウェルカムキャンプで正課授業の一つ(基礎演習)のキックオフを行ないます。これはBLP(ビジネス・リーダーシップ・プログラム)のイントロでもあり、グループワークが中心なので、新入生はこの1泊2日で全員が少なくとも3~4人の親しい友人ができてしまいます。新学期が始まってもこの4人は同じクラスです。この方式の意義を上級生が共感してくれていることがありがたいところで、そのため運営を彼らに任せても学部の教育方針からは全然逸脱しないどころか、むしろそれを徹底する方向でどしどし新企画を考えてきてくれました。例えば、従来は二日目の朝からグループワークを始めていたのをさらに前倒しして、一日目にグループ単位のミニグループワークを行うことでアイスブレークし、それに続いて翌日に取り組むことになるグループプロジェクトのお題解説をしてもらってから解散・就寝です。
 キャンプでのミニプロジェクトの出題と審査はこれまで教員が行っていたのですが、ここでも新機軸。小山俊介さんと河原邦博さんという強力無比なお二人に二日間連続でご来場いただきました。お題は「身近な商品に笑いの要素を付け加えて新商品を作る」。16クラス80グループが提案を競い、予選を通過した8つのグループで行う二日目夕方の全体発表会は笑いの渦でした。

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04/05/2009

リーダーシップ・アセスメント

今回の出張の最大の目的はリーダーシップを評価する方法についての調査です。San Jose Stateでグローバルリーダーシップのアセスメントセンターが立ちあげられたと聞いたので早速話を聞きに行った次第です。

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週末にもあちこち案内してくれたJoyce Osland教授が迎えてくれました。Joyceさんとはかなり長時間ご一緒しましたが、他にもこの経営学部のビルで、大勢の人に次々に面談したり授業を見学したり、密度の濃い訪問でした。リーダーシップアセスメントについては、他の授業をも含めて発達中のITを使った手法の多くが使えること、アセスメントの項目についてはリーダーシップ開発論というよりリーダーシップ論そのものの成果を使えること、またこのアセスメントは受講生の成績評価にとどまらず、大学の外部から見て授業の効果を客観的に把握する(逆に言うと大学側から説明する)のにも同時に利用できること等、多くのことを学べました。

その他にも、Blackboardを正式採用しているという学部でも、その実態は、半数くらいの教員しか使っていないことがしばしばあるとか、学生からはBlackboardを使っていないからといって特にその教員に不平を言ったりしないこともあるとか(これは大学によるでしょうけどね)、Blackboardは使いづらいからオープンソースのMoodleの方がいいし教育支援システムでは「Blackboard=神」というのはとんでもないぞとか、いろいろな意見が聞けましたし、また遠来のビジターだからでしょうか、ここではとても書けないようなcollege politicsの話を、わりと気楽にしてくれる人が居ました。

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03/06/2009

BLP紹介ビデオ

立教での第一の仕事になっているBLPの授業風景と仕組みを紹介するビデオができあがりました。プロのナレーションと字幕がついているので、かなり分かりやすいと思います。素材は私が担当したクラスの映像です。残念ながらこのクラスのグループからはプロジェクト発表会の本選には行けなかったのですが、それでも多くを学んで「振り返り」で定着させてくれたと思います。

以下は学部ウェブサイトでのこのビデオの紹介です。

「2008年度春学期に行われた基礎演習(リーダーシップ入門、BL0)の教室風景を素材にして、BLPの紹介ビデオ2008年度版を作りました。4月6-7日(パシフィコ横浜)で予定されている新入生ウェルカムキャンプは、この基礎演習(BL0)のキックオフにもなっています。

なお、ここでは基礎演習はBLPの最初の科目(BL0)としてとりあげていますが、経営学部では経営学科・国際経営学科の両方の一年生全員が、両学科混成の少人数クラスで最初に受講する科目で、経営学科生にとっては秋からのBL1など、国際経営学科生にとっては海外EAPやEAP1など、グループワークの多いBLP/BBLの諸科目につながる導入も兼ねています。

つまり経営学科生は

ウェルカムキャンプ→基礎演習(BL0)→BL1→BL2・・・

国際経営学科生は

ウェルカムキャンプ→基礎演習(BL0)→海外EAP→EAP1・・

と繋がっていきます。」


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01/10/2009

アクションラーニング

前から気になっていたアクションラーニングについてまとめて体験する機会がありました。12月に日本アクションラーニング協会の講習会を受けて、「質問会議」を体験しました。グループワークによる問題解決はBLPでもよく行っていることですが、意見ではなく質問によって問題を解決していく方法は新鮮でした。ドラッカーが、コンサルタントの極意はタイミング良くいくつか質問できるかどうかだというようなことを書いていた気がするのですが、このことかもしれないと思えました。質問会議は上下関係があるメンバーの会議ではすぐ効果が出そうですし、もしかするとアシスタントがBLPのグループワークに介入する方法を定型化するのに使えるかもしれません。

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10/20/2008

大学で何をしてきましたか?

ある三年生が「私、部活もサークルもやってないから、就活でゼミのことを話そうと思うんです。でも『ゼミではこれをやった』と短く言えないと困るので、どうしたらいいでしょうか」と相談に来ました。この学生は(とっても優秀な人です)「これをやった」という「これ」は例えば「マーケティング」とか「経営戦略」とかいった経営学の専門分野のことを考えていたようなのです。

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10/16/2008

教育GP

立教に来てから早くも三年半、その間いつも最優先の仕事だった「ビジネス・リーダーシップ・プログラム」が文科省の「教育GP」の対象として選定されました。(経営学部のプレスリリース)(選定された理由とプログラム概要

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09/11/2008

なぜローマだったのか

↓コロッセオにて。クリックで拡大されます

Colosseomiddle

無事ローマ合宿から帰ってきました。いろいろ発見もあり楽しく有意義でした。僕自身はローマは四年ぶりでしたが、前回より英語を理解する人がかなり増えている気がしました。例えば交通関係でいえば前回は空港・国鉄では大丈夫だけど地下鉄駅員にはまず通じないというふうでしたが、今回は地下鉄でも、タバッキの多くでも大丈夫なふうです。EU統合とグローバリゼーションの影響がイタリアにも確実に押し寄せているということでしょうか。イタリア旅行に来てますます英会話の重要性を実感しましたという学生も居たくらいです。僕も少しはイタリア語を勉強して、会話の出だしだけはイタリア語で切り出せるよう努力しましたが、もうそれ無しでも済みそうな気がします(過去のイタリア訪問記は右サイドバーのカテゴリー02c、つまりこちら。ただしいまお読みのこのエントリーも含まれて来ます )。
 今回は海外旅行経験のあまり多くない(初めての人もふくむ)学生10人を連れてローマのみ一週間だったのですが、そもそもゼミでどうしてイタリアに、それもローマに行ったかを説明しておきます。ゼミ生が他大学の友達に「ゼミでイタリアに行くことになった」と話すと「イタリアはいいけど、なんでゼミで? しかも先生も来るなんて」と驚かれるらしいからです。ゼミ生は「いや、先生が一番張り切っているくらいだ」と応えるらしいのですが、学生の「自主性」に任せていると、こと海外合宿に関する限りショッピングと観光が中心になってしまうのが目に見えていたので、勉強とリンクするように介入した次第です。
 (1)就活が3年生の冬から4年の春にかけてあり、女子は特に長期化しやすく、就活が終わったときには大半の学生は虚脱状態で、普通の輪読やディスカッション形式のゼミでは意欲が上がらない。そこで9月に海外ゼミ合宿を行うことにして4年の前期には人によって面接でゼミを休んだりしながらも興味をもって自分でも勉強できるように海外ゼミ合宿にリンクした題材を選んだらどうかと思いついた。
 (2)ふだんの国内ゼミ合宿は貸別荘で完全に自炊で、大部屋に皆で寝る形なのに今までの海外ゼミ合宿は普通にホテルにシングルかツインで泊まって食堂で食事するのがつまらないしコストも割高である。国内でやっている貸別荘の合宿形式を海外でも実行できれば安くて楽しいし、現地で食材などの買い出しで学ぶことも多い。
 (3)海外旅行するならば、その地の歴史や地理や文化を多少は勉強してから出かけるというモデルケースを経験してほしい。帰ってきてからも勉強を続けてほしい。
 この三つを同時に満たすと思えるのが「ローマの週借りアパートに滞在」というソリューションだったのです。まず、いまのゼミ生は、2年生・3年生はもちろんのこと、社会学部産業関係学科所属である4年生を含めて、経営学部のBLP  をゼミ内外で実践することを習慣づけられている(はずな)ので、リーダーシップに関心が高い。そこで古代ローマの偉大なリーダーたちのことを学び史跡を見るという良いきっかけにローマ市がぴったり。実際、4月から7月のゼミでは本やビデオを使って古代ローマ史の勉強をしていましたし、今回のローマ滞在中は街中の古代史跡を毎日見に行きました。今回は現地の大学生との交流や工場見学などは無いだけに史跡めぐりは必須でした。結果としては、日頃からゼミ運営で課題としている「提案して率先するリーダーシップ」を旅行後半でゼミ生たちがみごとに実践してくれたので、もしも古代のリーダーのことが仮になくても充分に意義はあったとすら思えます。
 また、イタリアの都市には長期滞在を希望する人が多いらしく3日とか一週間とかの単位で貸すアパートの供給が充分にありそうだったので、早めに予約して準備しました。結果としては大正解でとても便利で快適な滞在でした。
 全ゼミ生からローマ合宿の参加希望者を募れば20人どころか30人にも達してしまいそうでした(気のせいか?)。しかしローマを含めてイタリアの観光地は上海ホーチミン台北と比べて遙かにスリや詐欺が多いと思えるので、とても20人は連れて行けないと判断して、今回は4年生限定にしました。もっと田舎にすれば20人でも可能なのかもしれませんが。

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02/29/2008

横からのリーダーシップ

大学の教員同士、とくに常勤の教員同士の関係は、互いに命令する権限がないという意味では上下関係にない。複数の教員のチームで新しいことを始めようとすると、誰にも権限がないのでとってもエマージェントなリーダーシップになる。教授会で誰それと誰それ君やってくれたまえと決まったところで、その代表者たる誰それ君は、代表といってもちっとも権限はなく、それなのに責任をもって教授会に経過と結果を報告する義務だけが発生するのであるから、とってもサーバントなリーダーシップを発揮して実行したり、「影響力の法則」を地で行く交換の秘術をつくして皆さんのご協力をお願いせざるをえない。
 民間企業から大学教員に転じた方々の多くは、教員のこうした関係を見て大抵驚愕する。民間企業の方式が正しいのであると信じて疑わない人もいて悲憤慷慨されるのだが、こうした事情はアメリカの大学でも大差ないことはコリンズも書いている。その意味では民間企業よりも遙かに前から大変フラットな組織なのである。コリンズは勢い余ってか、大学やNPOや社会セクターにおけるリーダーシップこそ権限のないリーダーシップであり、もっとも現代的なリーダーシップであるとまで言う。
 一つ前のエントリーに書いたのを「下からのリーダーシップ」と呼ぶなら、これは横からのリーダーシップとでも言えようか。

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02/28/2008

下からのリーダーシップ

『金融ジャーナル』という業界誌から執筆依頼があった。同誌には数年にいっぺん、こちらが忘れた頃に依頼をいただいて、そのとき考えていることを書かせてもらってきた。この頃金融よりもリーダーシップのほうばかり読んだり書いたりしているので、依頼メールをいただいたときにも、件名と差出人を見て、急ぎならばこれはお断りしたほうがいいかなと思ったのだが、メールを開けてみると組織活性化の特集らしいのでリーダーシップの話でよい由。そこで概略以下のようなことを書こうと思っている。「空気を読む」については前にもここに書いたし、教室ではいつも話していることではある。

「組織の活性化」に効くのは「下位の者もリーダーシップを発揮しやすい」ことではないか。然るに若い人たちの間では同位の者の間であってすらリーダーシップをとることを恐れる傾向があるように思えてしかたない。若い人の間で「あいつは空気が読めない」という言い方が流行するようになってから、はや5年は経っている。その後いっこうに衰える気配はなく、「KY」という略語までできるほど定着しているようだ。(ついでに、コミュニケーション能力という言葉すら、もともとはもちろん違うが、若者の間では「空気を読む能力」と似た意味で使われているような気がする。聞き違いだろうか?)「空気を読む」こと自体を最重視すると、空気を壊したり変えたりすることに慎重になりやすい。空気を変えたほうがいいのだと自分で確信できる場合には転換を提案できるのだが、確信を持てないときには提案しづらくなるからである。特に、空気を読むことに失敗した者が厳しく罰せられるような組織やグループでは、空気を変えるような提案はとてもリスクが高い。安全に空気を変えられるのは「笑いをとる」場合ぐらいになる。笑いをとるのに失敗した(「すべった」)場合でも、空気を読むのに失敗した場合ほどには罰せられない。笑いがふさわしくない状況もあるだろうが、それを読むのも「空気を読む」うちであるから、やはり最優先されているのは「空気を読む」ことなのである。

 これはリーダーシップが不足している一つの典型的な状況である。チームや組織としての成果への指向をリーダーシップのP要素(performance)と呼ぼう。これに対して人間関係の維持への指向をリーダーシップのM要素(maintenance)と呼ぶ。このPとMがリーダーシップの二大要素である。PとMは一人の人が兼備している必要はなく、分担されていて構わない。その要素が充分にある場合は大文字で、不足している場合は小文字で表すとすると、PMは両要素とも充分にある状態で成果もあがるし人間関係も良好である。pmは両方とも不足している場合であるから成果もあがらないし人間関係も悪い。空気を読み合うばかりのチームは pMすなわち成果よりも人間関係が重視されている状態に相当する。pMなチームを作ってしまうようなメンバーは上位の者に対してリーダーシップを発揮することなど思いも寄らないだろう。

 下位の者が上位の者や顧客に提案できるようにするには、上位の者にもそれを歓迎する(下克上である等ととらえない)姿勢が必要であることはもちろんだが、下位の者にも入社当初から習慣化することが大切である。幹部候補生になってからの「リーダー研修」では手遅れではなかろうか。

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