「心理的安全性」より「衝突安全性」がよいのでは?
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夏クオータの授業がもうすぐ終わる.結局学生たちとは一度も対面しないままだった.特に新入生は一度もキャンパスに来ないままだが,リーダーシップの授業ではすごく親しくなる点は例年どおりのようである.
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今週は早稲田で「リーダーシップ開発:理論とスキル」(水5-6限)と,「他者のリーダーシップ開発1」(金5-6限)が揃ってオンラインで始まりました.どちらも双方向ライブ型で,Zoomのブレイクアウト機能を頻繁に使ってグループワークと全体共有を繰り返すという,これまで早稲田で4年間(私自身はその前立教でも11年間)やってきた対面型の授業をそっくりそのままオンライン化する試みでした.3月の早い時期に「新学期開始は5月連休明け,オンラインで」という大学全体の方針が明示されていたので,教員の皆さんやTACAとずっと覚悟を決めて準備してきた甲斐があり,ほぼ事故はなく,まずは大成功でした.
個人的に大収穫だったのは,「Zoomのほうが自己開示しやすい気がする」という学生に複数出会えたことです.聞き取りやすいとか分かりやすいじゃなくて,「自己開示しやすい」ですよ? 安心安全な環境を作る工夫をさまざま行なってきた成果でもあるのですが,これにはすごく将来性を感じます.コロナが明けても来年度以降フルオンラインを何クラスか残したり,ブレンド型を試したりしてみたいぐらいです.
その他,技術的な点を含めて気づいたことを3つほど.
1) 3月中から個人的にZoom飲み会が続き,その経験から(笑),Zoomでの授業に参加する学生の通信環境が非常に重要であることにはすぐ気づいたので,受講生に一斉メールでGoogleFormの通信環境アンケートを行ない,返事のない受講生には個人メールを送り,コンサルティングもしました.大きな出費を強いないように心がけましたが,最初から光回線+Wi-Fiのある学生が大半で,問題は家庭内でWi-Fi状況が悪い(ルータから遠い,5GHz帯に設定してない等)とか,同じ時間帯に家族と容量を取り合っているとかが主な問題でほぼ解決可能でした.また,4月中から顔合わせを兼ねたZoom接続練習会を任意参加で開催したのも効果があったようで,おそらく他のオンライン授業の準備にもなったのではないかと思われます.
2) 授業の前後の受講生への連絡はSlackで,授業本体はZoomで,受講生がZoomに入れなかったり誤操作で退場してしまった場合などのサポートはTAやCAがLINEでやっています.もともと去年からSlackを採用したのはLMSに比べていろいろな点で学生の自発的な発信に向いているからですが,今回はLMSは想定以上の混雑で止まったりしていましたからなおさら正解でした.
3) 授業中は,私は立場上,全体を見る必要があるので,水曜は3クラス12グループに3台を同時に繋いで学生たちの中に入ってみたものの,3つ同時に追いかけるのは至難.2つなら片方をスピーカー,もう片方を片耳ヘッドホンで聞いてチラチラ見ながらフォロー可能.グループワークに介入するときはチャットを使うのが意外に有効のようでした.
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2006年4月から2019年3月まで,最初の11年は立教で,最近の3年は早稲田で(和が合わないのは2016年度は両方で統括していたからです),リーダーシップ教育科目群の最初にPBLを配置してきた経緯,そして2019年度からそれを変更して「理論とスキル」を学んでからPBLに入るようにした経緯は既にここでも書きました.
その後,春夏で1回転(理論とスキル→PBL)し,今は新しい受講生で秋冬の2回転目で,冬のPBLに入って3週目です.感覚での話なのですが,教員もTAもCAも一致したのが,昨年度に比べてPBLで本気を出すのが早いように見える点です.昨年度までは,8週のうち本気を出すのが5週目か6週目なのが常でした.
どうしてそう変わってきたかを考えると,一つには,理論→実践という自然な順番だからであるという議論がありえます.しかし実践のイメージがわかないうちに理論を教えても学ぶところは少ないので,少し実践してから理論を学んだほうが沁みるように分かるという議論もあり,私たちもそのほうがよかろうと考えて13年間は先にPBLを行ってきたのでした.これら両方のやりかたがあるという議論は,学習目標がリーダーシップであっても,実習・実践が可能な他の目標(例えばスポーツや化学)であっても共通でしょう.
この他に,リーダーシップ教育固有の理由はないでしょうか? 可能性があるのは,「理論とスキル」の8週間のなかにグループワーク・ペアワークが頻繁にあり,コーチングも含まれていたので,クラスメンバーの関係性が向上し,安心安全の場が作られていたことです.これを検証する一つの方法は,春の「理論とスキル」の受講生の一部が,夏のPBLではなく冬のPBLのクラスに入ったり,秋の受講生が翌年度夏にPBLに入るようなことが発生すると,メンバーが変わるわけで,それでもPBLがスムーズに回るのならば,特定個人間の関係性ではなく関係性そのものを構築する個人個人の能力があがったり,その組織の文化になりそれが伝承されていることになります.
さらに進んで,初対面の人とでも自分たちでチームビルディングをやってから協同で問題解決を始められるようになる,というのが上級編です.毎年夏に実施しているリーダーシップ・キャラバンでは,全国の大学でリーダーシップ教育を受けた学生が集まって,初対面同士でグループを組んで短期PBLを行ない,自分たちが上級になりつつあるかどうか試せる仕掛けになっています.このとき「権限によらないリーダーシップ」についての共通理解があるとないとでは,おそらく生産性にも関係性にも天と地ほどの差がありますね.例えば新卒採用選考のグループディスカッションではそういう理解がなくリーダーシップはドミナンスのことと思ってやたら仕切ろうとする学生がまだ多いと思われます.さすがに採用側はそうではなくなってきていると思いますが.
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ここ3年くらい,ILA/ALE界隈では,community organizingとleadershipの関係つまりcommunity organizingに(権限によらない)leadershipがどのように役立つのか,とか,役立つのならばleadershipのどの面を特に強化したらよいか,何を足したらいいか等の議論が盛んに行われるようになった.多くの場合どういうコミュニティのことを指しているのかはあまりはっきり特定されないが,聞いているとやはり地理的なコミュニティのことが多い.そうなることには何か理由があるのだろうか.
ごくおおざっぱな直観的な議論だが,コミュニティから退出する自由があるかどうかが大きな分かれ目ではないかという気がする.退出する自由があるなら,(たとえば)コミュニティに貢献しないメンバーが居てフリーライドされるのが嫌ならやめればよい.また,逆にフリーライドされないように規定を決めることもできるだろう.
ところが,地域コミュニティのように,転居のコストはかかるし地域に思い入れはあり,本人がそこに居続ける限りは入らざるを得ないようなコミュニティの場合は,やめるほうもやめさせるほうも容易ではなく,適応的課題が起きた場合にはまずは現状のメンバーを巻き込んでいくことが前提になる.これこそリーダーシップが必要とされる場面なのではないか.つまり,community organizingにリーダーシップが必要になるのは,退出の自由が少ないようなコミュニティにおいてである,というのが地域コミュニティが議論の中心になる理由ではないか.(写真は今回のALE年次総会のために宿泊したadobe house)
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