カテゴリー「02s. Spain」の3件の記事

2015年10月20日 (火曜日)

Uber vs. MyTaxi

Imgres

バルセロナの空港に着いて、Uberアプリを起動するも、サービスが開始せず。あとで知ったのですが、バルセロナ市の裁判所がUberは違法であると裁定したのでバルセロナには一台もUberが走っていないのです。これは困った。サンディエゴ大会のときは、会場近くのホテルは高くて狭いので、Uber利用を前提に1km以上離れたコンドミニアムに泊まって正解だったので、今回もそうしたのが見込み違い。しかたなく空港から正規のタクシーに乗って宿に着きました(スーツケース二つで電車とかバスとか乗りたくありません)。ネットでバルセロナ裁判所の判決のことを知り、もう少し検索すると、Uberの代わりに、ドイツ発のMyTaxiというサービスがあって、そちらはバルセロナでも盛んに使われていることをつきとめました。(Uberの直接のライバルにLyftというのもありますが、それもバルセロナにはありません)。

ユーザから見ると、アプリ上でユーザ(乗客)とドライバーが出会う点は同じ。ドライバーをレーティングできる点も同じ。支払いは車内でのやりとりではなくアプリ上でもできる点も同じ。違いは、正規タクシーなので料金がUberより高いこと。正規タクシーなのでドライバーの腕は確かなこと(Uberには、たまにカックンブレーキのドライバーがいます。その腕では普通はレーティングで低くなって生き残れないのでしょうが、私の遭遇した運転のヘタなUberドライバーは皆女性でした。乗客は男性のほうが多いと思われますので、それでレーティングが甘いのではないかと推測します) MyTaxiにドライバーとして登録するかどうかはタクシードライバー側の選択だそうですので、個人タクシーみたいな人なのか、または社員がMyTaxiにも登録するのをOKするタクシー会社のドライバーなのかでしょうか。バルセロナのようにUberが禁止されているところでMyTaxiが繁盛するというのは分かりますが、UberとMyTaxiが競争しているような市はどのくらいあるのでしょうかね。法廷が介在することもありますが、そうでない場合も、Uberと正規タクシーが競争した結果、ユーザに利益がもたらされているように思えます。海外でUberに乗り慣れて、日本でも、電車よりタクシーのほうが絶対早くて、時間のロスを考えると、タクシー代を払う価値がある場合が結構あることにきづきました(結構高い時給のはずの人でも、どんな場合も移動にタクシーは即贅沢と思っている人は多いですね)。ところが、日本の「全国タクシー」というアプリは、MyTaxiに似ていますが、「迎車料410円」がバカバカしすぎてよほどの事態でないと使う気になれません。迎車料なんて配車を人力でおこなっている時代の遺物です。日本のタクシー会社でどこかMyTaxiと提携を始めてくれないでしょうか。

|

2015年10月19日 (月曜日)

バルセロナでリーダーシップ教育者のキャリアについて考える(その2)

2015barcelonabanner6


リーダーシップ教育者のキャリアが多種多様で、リーダーシップ一本で学生のころからまっすぐ来た人なんか滅多に居ないというのがわかったのですが、そのままで放置すると、いろいろな人がてんでに勝手なことを教えているのがリーダーシップ教育の実態になってしまいます。それではならじと教科書も多数出版されていて、Susan KomivesさんらのExploring LeadershipやPeter NorthhouseさんのLeadership:Theory and Practiceがよく使われているようです(お二人ともILAの常連というか重鎮です。Komivesさんは2013年に立教リーダーシップカンファレンスにお招きしました。今回Komivesさんの姿は見かけませんでしたが、実はKomivesさんのExploring Leadershipの日本語訳が進行中で、順調にいけば来春発売です。私も関わっています)。他に、ビジネス界でも有名なKouzesさんとPosnerさんのLeadership Challengeもベストセラーです。

これらの本は学生もすみずみまで読むべきだと思いますが、それとは別にリーダーシップ教育に新しく関わることになった教員用に、教えるというか、クラスをファシリテートするときに何が肝かを実用的にコンパクトにまとめたものがあれば、リーダーシップ教育の普及と標準化のために非常に役立つでしょう。2014年夏に立教リーダーシップカンファレンスにお招きした若手リーダーシップ研究者のDan Jenkinsさんらが発起人になって今年から始まった合宿形式の研修も、そうした試みです。一日めは最小限のリーダーシップ理論。二日目は最小限の(アクティブラーニング的)教授法だそうです。

日本にもこの種の本や研修があっていい時期ですね。いま立教のBLP/GLPには他大学や高校から授業と教員SAミーティングを見にこられるかたが毎週いらしてます。教員とSAが一緒に議論して作る授業のmakingのところから公開しているので注目されているのだと思いますが、現在BLP/GLPを担当している教員でも、リーダーシップ教育経験は最長で10年くらい、最短は1年です。1年のかたでも毎週のミーティングや共同スライドを通じてみるみる勘所を体得なさっていくので、その過程を言語化して、Dan JenkinsさんらのAcademyも参考にしながら、本や研修パッケージの形にできたら、ニーズに応えられるんじゃないかな~と考え始めました。アクティブラーニングと一緒にリーダーシップ教育の初歩もしてみようという教員たちにも有用でしょう。いまBLP/GLPには國學院・成城・武蔵の専任教員のかたがいらしているし、来年度からは早稲田と東大も加わるので、立教を中核に、これらの大学の共同事業として開発できたらさらにインパクトがあるかも。

|

2015年10月17日 (土曜日)

バルセロナでリーダーシップ教育者のキャリアについて考える

International Leadership Association (ILA)の年次総会に出席するためバルセロナに居ます。ここまでで最も印象深かったのは、リーダーシップ教育者のキャリアについてのワークショップです。一番最初にILA総会に参加した2011年(ロンドン)に偶然隣に座って以来のつきあいであるKerry Priestさんと、同僚のCorey Seemilerさんがファシリテータでした。各テーブルで、自分がどういうきっかけでリーダーシップ教育にかかわるようになったかという経験を共有してみると、会場の大多数が、「偶然」や「なりゆき」で始めることになったと語り、しかもその結果にこれまた大多数が満足している(偶然やなりゆきに感謝している)ことが分かりました。逆に言うと、学部から大学院まで一貫してリーダーシップを研究してきて、そのままリーダーシップ教育を始めたというキャリアの人は非常に少ないということです。

これはいったいどういうことかというと(以下、私の考えです)、リーダーシップ教育を担当し続けることを選ぶ(始めたのは偶然やなりゆきであっても)人は、自分の人生を振り返ってみて、それなりのリーダーシップ経験をしてきており、その経験はリーダーシップについての学部や大学院の授業に限らず、高校・大学・職場のようにさまざまなところで得られたものなのでしょう。で、その経験を、リーダーシップの観点から振り返るという機会があるかどうかが分かれ目なのです。その機会があれば、リーダーシップに興味を持つようになり、自分のリーダーシップをさらに磨こうと思ったり、他人にもリーダーシップをつけてもらうとその人ももっと幸せになれるし社会のためにもなる、と考えるようになるのは自然ななりゆきだからです。私自身、いま振り返ってみれば中学くらいから(高校時代はどちらかというと不振でしたが)大学・大学院時代に数々のリーダーシップ経験と呼ぶべきものを重ねてきていたのに、それをリーダーシップという概念では理解できていませんでした。それができるようになったのは、白状しますが、なんと立教大学に来て自分自身がリーダーシップ教育(BLP)を担当するようになってからです。いったんそれを意識するようになってからは、BLPの主査としてどうリーダーシップを発揮するのが正しいのかを毎日考えることになって今に至りました。

また、学生についても、Kerryさんの言う”to help a student to live a better life”という考えが、私も大学教員になった当初からあったように思います。ところが、better lifeを生きるために学生に知っておいてほしいこととして経済学(当時の私の専門)一本では、あまりに迂回的だとずっと感じていました。そこで、経済学以外にもいろいろなことをゼミ生らと一緒に勉強しようとしてきたのだと思います。その意味では、上記のワークショップ参加者たちと全く同じように、私も、2005年にリーダーシップ教育に出会って「これだ!」と思えたのでしょう。なんだか他人事のような書き方ですがね(笑) 

リーダーシップの理論と出会うのは、私のように中年になってからではなく、もっと早いほうがいいので、大学生か、できれば高校生のうちがいいと思います。私が、アクティブラーニングと一緒にリーダーシップも勉強しましょうと提唱しているのもそれが理由です。

現状の立教のBLPでは、リーダーシップ経験を全然積んでいない学生も居て、その学生にとっては学びが極端に少なくなってしまうので、(必修授業であることを考慮して)リーダーシップ経験そのものも教室内で提供(クライアント企業への提案コンペなど)していますが、学生の経験度合い次第では、大学生であってもリーダーシップ経験の部分はアウトソースというか、教室外で積んでもらうのでもいいのです。例えば体育会リーダーシップ研修はその典型です。2012年にテニス部で始めたこの研修も、いまでは女子ラクロスなどいくつかの部で好評のうちに繰り返し展開するようになりました。 これも高校の運動系部活や吹奏楽でも同じように展開可能なはずです。

|